近年、未経験からITエンジニアに転職をする人が増えてきています。様々な業種からの転職事例がありますが、中でも営業職からのITエンジニア転職は非常に有利です。本記事ではその理由と、営業からエンジニアに転職する方法について解説していきたいと思います。
- 完全未経験からでも営業の強みを活かしてエンジニア転職ができる
- 営業スキルを活かして高単価エンジニアになれる
- 営業をやっているけど、仕事がつまらない
- 営業で得たスキルを活かしてジョブチェンジしたい
営業がエンジニア転職に有利な理由
冒頭で申し上げたように、未経験の中でもとりわけ営業職からのエンジニア転職は非常に有利です。何なら、営業職を経験している人の方がキャリアの幅が広く、エンジニアしか経験のない人より給料は上がりやすいです。その理由をご説明します
コミュニケーション能力が高い
エンジニアという仕事はどんなものか、皆さんはどんな姿を想像しますか?黙々とデスクに向かって作業してる?一人でパソコンを打ち続けてる?実は、エンジニアというのは非常にコミュニケーションが重視される職種なんです。
例えば顧客との打ち合わせ。要件定義や仕様調整の段階で、顧客の要望を正確に聞き取る必要があります。このとき、技術用語を並べるだけではなく、誰にでも分かる言葉で説明する力が求められます。営業経験者なら、専門知識がない顧客にも商品やサービスの魅力を伝えてきた経験があるため、この部分を得意としているでしょう。
また、チームメンバーとの情報共有も欠かせません。開発は個人プレーではなく、チーム全体でプロジェクトを進めます。進捗状況の共有やタスクの割り振り、障害が発生した際の対処法などをチームで相談するため、明確で迅速なコミュニケーションが不可欠です。
さらに、上司への報連相(報告・連絡・相談)も重要です。上司の方針を理解し、進捗を適切に報告することで、プロジェクトの方向性を常に確認できます。営業時代に培った上司や顧客への報連相のスキルが、そのままエンジニアの職場でも役立ちます。
エンジニアには「コミュニケーションが苦手」というイメージが根強く、実際それは事実です。そのため、コミュニケーション能力の高いエンジニアは貴重な存在であり、チームの潤滑油として重宝されます。営業で培った対人スキルを持つあなたは、この点で他のエンジニアと大きく差別化できるでしょう。
【まとめ】
エンジニアには高いコミュニケーション能力が求められる
・顧客打ち合わせ
・チームメンバーとの情報共有
・上司への報連相
コミュニケーション能力が高いエンジニアは貴重!
ヒアリング能力が高い
エンジニアの仕事の本質は、ITを用いて顧客の課題を解決するというところにあります。そう、顧客の課題を解決するというところです(大事なことなので2回言いました)。そのために必須のスキルが「ヒアリング能力」というわけです。顧客が本当に抱えている課題は、必ずしも言葉にしてくれるわけではありません。時には顧客自身が問題点を正確に認識していない場合もあります。営業では、顧客の曖昧な悩みを引き出し、潜在ニーズを掘り起こすためのヒアリングを繰り返してきたはずです。
例えば、こんな会話を思い出してください:

「顧客さん、今何かお困りのことないですか」



「うーん、今は特にないけど、強いて言うなら⚪︎⚪︎かなぁ」



「⚪︎⚪︎でお困りでしたら、◻︎◻︎でもお困りではありませんか?」



「確かにそれもあるね。なんかいい方法ある?」



「それでしたら、うちのこの商品がオススメですよ!」
実際こんなに上手くいくかはさておき、このように、顧客の言葉の裏に隠れた本音を探る力は、エンジニアにとっても非常に重要です。例えば、顧客が「もっと使いやすくしてほしい」と言った場合、その裏には「操作が複雑でスタッフが混乱している」「作業時間が長くなっている」という課題が潜んでいるかもしれません。
その本質的な課題を見抜いてこそ、本当に価値あるITソリューションを提供できるエンジニアになれます。
また、多くのエンジニアが、技術に注力するあまり、顧客の要望を表面的に受け取ってしまい、結果として「作ったけど使いにくいシステム」が生まれてしまうケースが少なくありません。ヒアリング能力を持つあなたは、顧客に寄り添った提案ができるエンジニアとして、他のエンジニアとは一線を画すことができるでしょう。
【まとめ】
エンジニアの仕事の本質は顧客の課題を解決すること
顧客自身も把握していない問題点や顧客の言葉の裏に隠れた本音を探るのは営業の得意とするところ
ヒアリング能力があると、顧客に寄り添った提案ができる!
利益追求の意識が高い
エンジニアは紛れもない技術職ですが、それ以前にビジネスマンであるという意識を持ちましょう。IT企業も会社である以上、営利目的の団体です。つまり、どんなに優れたシステムを作っても、それがコストに見合った価値を提供しなければ意味がないのです。営業経験があるあなたは、常に「どうすれば売上が上がるか」「どうすれば利益率が上がるか」といった視点で考え、行動してきたはずです。この利益追求の意識こそが、エンジニアに不足しがちな視点です。
エンジニアは技術に没頭するあまり、時に「技術的に面白いけど高コスト」な機能を作り込んでしまうことがあります。しかし、営業経験者なら、コスト意識を持ちながら、顧客に本当に必要な機能に絞った提案ができます。
例えば、要件定義の段階で「この機能は本当に必要ですか?コストが◯◯円かかりますが、費用対効果を考慮すると、もっとシンプルな代替案もありますよ」と提案できるのは、営業出身者の強みです。
【まとめ】
技術者である以前にビジネスマン
コストに見合った価値を提供しなければ意味がない
コスト意識を持ちながら、顧客に本当に必要な機能に絞った提案をすることが必要
営業経験を活かしてエンジニア転職を成功させる方法
エンジニア転職に必要なことは基本的には業種に関係なく、こちらの記事に記載されている内容を実践できれば問題ないでしょう。しかし、営業経験を活かして他の求職者と圧倒的に差別化を測ることができます。具体的には、以下のようなことを面接で話せると良いでしょう。
1.キャリアの方向性を明確に伝える
エンジニアと一口に言っても、フロントエンド、バックエンド、インフラ、データエンジニアなど、さまざまな分野があります。
営業経験を活かすなら、以下のようなキャリアパスが特におすすめです。
- セールスエンジニア:営業経験を活かして技術的な提案を行うポジションです。顧客とのコミュニケーション力が強みになるため、スムーズに移行できます。
- プロジェクトマネージャー(PM):チームの進捗管理やクライアントとの折衝を行うPMは、営業で培った交渉力や調整力を存分に発揮できます。
これまでの経験を強みとしているため説得力がありますし、将来的にこれらのキャリアパスを目指していることを説明できれば、採用担当者はあなたが自社で働く姿を勝手に想像してくれます。
「営業経験で培ったコミュニケーション力を活かし、技術的な内容を顧客にわかりやすく伝えるセールスエンジニアを目指します。特に、導入後の運用イメージを具体的に示し、顧客の不安を解消することを得意としています。」
「営業時代に顧客の要望をヒアリングし、カスタマイズ提案を行ってきた経験を活かして、要件定義のフェーズで顧客の本音を引き出せるエンジニアを目指します」
「カスタマイズ提案の経験を活かして、顧客の業務フローに最適化したシステムの要件を定義し、最適なソリューションを設計・提案します。エンジニアとしての知識を深めることで、より説得力のある提案を行います。」
2. 営業経験をどのように活かせるかを説明する
営業経験を活かして、IT企業でも活躍できるスキルがあることをアピールし、具体的にどのように活躍できるかを伝えましょう。
- 要件定義のスキル:顧客の課題を深掘りしてニーズを引き出す力は、要件定義の場面で活躍します。
- プレゼンテーション力:技術的な内容を非技術者にも分かりやすく伝えるスキルは、顧客への説明に役立ちます。
- 提案力:営業時代に培った提案力は、エンジニアリングの中でも、効率化や改善のアイデアを出す場面で有効です。
「営業での課題ヒアリングを通じて、顧客の曖昧な要望を具体化するスキルを身につけました。このスキルを要件定義や仕様策定に活かし、顧客に寄り添ったシステム開発を行います。」
「営業経験を通じて、顧客のビジネス背景を理解しながら本音を引き出すスキルを習得しました。このスキルを活かして、要件定義のフェーズで顧客の潜在ニーズを明確化し、最適なソリューションを提案します。」
「営業時代に培ったプレゼンテーションスキルを活かして、技術的な内容を非技術者にもわかりやすく伝えます。特に、システム導入後の効果を定量化し具体的に示すことで、顧客の納得感を高めます。」
「営業時代に培った提案力を活かして、エンジニアとしての視点から効率化や改善のアイデアを提案します。特に、業務フローを最適化するシステム設計を行います。」
営業からエンジニアに転職するメリット
営業からエンジニアに転職するメリットはたくさんありますが、実際に転職して私が特に感じたメリットを挙げていきます。
接待飲みや休日ゴルフなどの意味のない仕事から解放される
営業職では、顧客との関係を深めるために接待飲みや休日のゴルフが付きものです。「これは仕事なのか?」と疑問に思いながら、休日返上でゴルフに行くことも珍しくないですよね。しかし、エンジニアになるとこうした付き合いがゼロになります。業務外の無理な付き合いを強要されることはありません。自分の時間をしっかり確保できるのは、大きなメリットです。
ノルマを気にしなくてよくなる
営業職で精神的な負担となるのがノルマです。月末が近づくと「今月の数字が足りない!」と焦り、無理に案件を取りに行くこともありました。ノルマのプレッシャーで夜も眠れない…そんな経験をしたことがある営業職の方は多いでしょう。一方で、エンジニアには基本的に売上ノルマがありません。もちろんプロジェクトの納期や品質を守る責任はありますが、無理に数字を追いかける必要はありません。仕事に集中できる環境が手に入るのは、精神的に大きなメリットです。
自分でものづくりができる
営業の仕事は「モノを売ること」ですが、自分で商品やサービスを作れるわけではありません。顧客の要望を聞いて、それを社内の技術者に伝える役割にとどまることが多いです。しかし、エンジニアになると自分の手でモノを作れるようになります。システムやアプリを開発し、実際に動かして「自分が作ったものが世の中に出る」という達成感を味わえます。また、技術を学べば自分でサービスを立ち上げたり、副業を始めたりすることも可能です。自分のスキル次第で仕事の幅が広がるのも、エンジニアならではの魅力です。
営業からエンジニアに転職するデメリット
一方で、エンジニアに転職するデメリットもありますので注意が必要です。自分がやりたいこととのギャップがないか十分注意して転職活動に臨みましょう!
最初は給料が下がる
エンジニアは、スキルを磨けば高収入が期待できる職種ですが、未経験から転職する場合は、一時的に年収が下がることがほとんどです。例えば、営業職で年収400万円だった人が、未経験エンジニアとして転職すると年収250〜300万円程度に下がるケースがよくあります。理由は単純で、経験がないため市場価値が低いからです。しかし、営業と比べて自身の頑張りが評価されやすく、順当に経験を積みスキルを上げていけば2〜3年程度で営業時代の年収を超えることが可能です。
僕自身も転職で60万円ほど年収が下がりましたが、2年で100万円アップしたのであっという間に営業時代の収入を超えることができました!
常に最新技術にアンテナを張る必要がある
営業職でも業界のトレンドを追うことはありますが、エンジニアは技術の進化が非常に早いため、常に学習し続けなければなりません。例えば、数年前に流行ったプログラミング言語やフレームワークが、今ではほとんど使われていないということも珍しくありません。特にWeb業界やAI領域では、新技術が次々に登場するため、学習を怠ると市場価値が下がってしまいます。
しかし営業で得たスキルは価値が下がることはありません。どれだけAIが発達しようと、人と人によるやりとりが発生する限りそれほど心配はいらないでしょう。
中には夜勤がある職種も・・・
エンジニアと一口に言っても、働き方はさまざまです。特に、インフラ系エンジニアやシステム運用エンジニアは、夜間の障害対応やシステムメンテナンスが発生することがあります。
例えば、
- サーバーのメンテナンスが深夜に行われる(日中はシステムが稼働しているため)
- 障害発生時にすぐ復旧対応が必要になる(24時間稼働のシステムなど)
このようなケースでは、夜勤や深夜対応を求められることがあり、生活リズムが乱れる可能性があります。「夜勤がしたくない!」という方は、アプリ開発系のエンジニアを目指しましょう。
まとめ
- 営業がエンジニア転職に有利な理由
- 営業からエンジニアに転職する方法
- 営業からエンジニアに転職するメリット・デメリット
について解説しました。
営業とエンジニアという仕事は実は非常に親和性が高く、エンジニアしか経験のない人と比べてもハイレベルなエンジニアになれる可能性を秘めています。プログラミング自体は未経験でも、それ以外の経験値で周りと圧倒的に差をつけることも可能です。
営業からエンジニアに転職して、理想のエンジニアライフを送りましょう!
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